「さかな」が「しゃかな」になっても大丈夫?
おこさんのことばの発達が進み、おしゃべりができるようになってきて安心していたら、「さかな」が「しゃかな」になっていたり、「~する」が「~しゅる」になったりしていることありませんか?小さい頃は微笑ましかったそんなかわいいおしゃべりの仕方が、「こんな赤ちゃんみたいなしゃべり方で大丈夫かなと不安になられる親御さんも少なくありません。
でも実は体やことばの発達と同じように、発音できる音にも発達があるんです。
今日はそんなことをお話ししたいと思います。
発音の発達
発音には小さい頃から獲得できる簡単で発音しやすい音と大きくなってから獲得する複雑で難しい音があります。日本語の発音は多くの場合だいたい、小学校入学6歳~7歳くらいで完成すると言われています。逆を言うと6歳くらいまでかかるんです。
3歳くらいになっておしゃべりが盛んになってくると、
「アレ、この音まちがっているけど、大丈夫かな?」
と不安に思われる親御さんもおられると思います。でもまだまだ発音についても発達の途中ということになります。
あかちゃんは「ママ」「パパ」「マンマ」「ワンワン」などから言い始めることが多かったりしますが、実はマ行やパ行などは簡単な音の分類の中に入ります。
個人差もありますし、研究者によっても多少違いがあり、あくまで目安ですが
レベル1(1~3歳) | 「あいうえお」、「や行」「ま行」「ぱ行」「ば行」 |
レベル2(3歳~4歳) | 「な行」「たてと」「だでど」「わ」「ち」「か行」「が行」 |
レベル3(4~5歳) | 「し」「は行」 |
レベル4(~6歳) | 「さすせそ」「ざずぜぞ」「ら行」「つ」「し」 |
レベル1がより簡単で、だんだん複雑になっていき、レベル5は一番難しい音です。
特に一番難しいレベル4の音は年長さんになってから獲得する子が多い音です。なので3歳くらいで「さかな」が「しゃかな」となっていても様子を見ていても大丈夫です。
ただし、耳の聞こえや口周辺の形態や構造、運動面でも問題があったり、日常会話が難しいほど不明瞭な場合は早期に介入することもあります。
発音指導をスタートするのに必要なこと
発音指導(構音訓練)を始めるのにもいくつか目安になるものがあります。
【そろそろ言えるようになっていい年齢?】
上に書いたように「概ねこの頃までに言える」という目安があります。その年齢になっても言えない場合、発音指導について検討してみてもいいかもしれません。
【発音指導を受けるための発達が育っている?】
①音韻意識
発音指導をするためには
「音韻意識」と言うものが育っている必要があります。たとえば「さかな」であれば、3つの音で出来ていて最初が「さ」次が「か」最後が「な」というようなチカラです。どの音に気を付けて言わないといけないのか意識するために必要になります。これは4歳くらいから育ってくるチカラです。
②注意深く聞くチカラ
音の違いを聞き分けるために「注意深く聞くチカラ」も大切です。「さかな」が「しゃかな」になっている場合、「さ」と「しゃ」の違いに気づける必要があるからです。
③椅子に座って課題に取り組める
発音指導をする時に着席して練習をすることが多いです。10分~15分くらい座って取り組めるチカラがあるとより良いです。
このように、ある程度発音指導をを受けるにはそれぞれの音が発音できるくらいの年齢になっている上に、発音指導を受けるだけの発達が育っていることが、発音指導を始める目安になります。そのため、早いお子さんでは年中さんの後半くらい、多くの子が年長さんの1年間で発音指導を受けることが多いです。
発音指導が受けられる場所
「そろそろ発音指導を受けるだけの土壌が育ってきたなぁ」となったときに、どこに行ったら発音指導が受けられるのでしょうか?
発音指導は多くの場合、言語聴覚士さんやことばの教室の先生がしてくださることが多いです。言語聴覚士さんは2021年3月の時点で全国で約3万6千人にいて、その中でこどもに関わる分野を担っている先生は約4480人と言われています。とってもとっても少ないんです。
その少ない言語聴覚士さんはどこにいるのかというと、総合病院や療育施設に勤務されている先生が多く、最近ではフリーランスで活動されている先生もいらっしゃいます。
1ページ | 病院・施設検索 | 一般社団法人 日本言語聴覚士協会 (japanslht.or.jp)
→こちらのサイトから全国の言語聴覚士さんがいる施設を探すことができます。
ことばの教室(通級指導教室:言語)は私が住んでいる岡山市では5か所あり、小学校やこども園の中に設置されていて、3歳から5歳児が対象となっています。無料で受けられますが、療育施設に通っているお子さんは対象外となっています。 この辺りは地域によってかなり差があると思うので、お住まいの地域で調べていただけたらと思います。
さいごに
発音が間違っているととっても心配になりますよね。
私の娘も年長さんの秋ごろまで「か行」が「た行」になっていました。
お友達から「どうしてきりんをちりんって言うの?」と言われたこともありました。
もしご心配がありましたら、まだ年齢的に小さいかなと思っても言語聴覚士さんを訪ねてみてください。
まだ様子を見ていたらいいと分かると安心できますし、大きくなるまでの間、お家で取り組めることをおしえていただけるかもしれません。
まだ病院などに行くには勇気がいる、そこまでではないけれど気になる方はメールやオンラインでご相談もお受けしていますのでよかったらご活用ください。
保護者の方が安心して子育てができるのが一番お子さんにとって大切なことです。
発音のこと以外でも不安なことがありましたらいつでもご相談くださいね。